ここ近年はフィットネスブームと相まってか、マッチョが雑に扱われるような表現を見かけることはずいぶんなくなりましたが、今でも「見た目だけ」と言われることは多いと思います。
ところで、筋肉を発達させるには何が必要か。
「常人では扱えないような重い重量」です。
よって、基本的に筋力は人よりある場合がほとんどです。
この記事を読むことによって
ボディビルのトレーニングは筋肉にストレスを与えるのが目的
運動能力は筋力だけではなく、テクニック、技術が大切
一般的には「見た目だけ」と言われても仕方がないところはある
ということがお分かりいただけると思います。
体づくりをしていない人にとっては、不可解な部分が残るのがボディビルトレーニングです。
正直、「見た目だけやん」という人と100%分かり合えるのは難しいです。
僕はそんなことを言われたことは一度もありませんが、中には直接言われる人もいたとは思いますし、話題に上がることだってあると思います。
まあ、ダメ出しされたら「面目ない」でいいと思います。
ボディビルで鍛えた筋肉は使えない?デメリットしかない?
その体つきからスポーツにおいては過度に期待をされてしまいがちですが、スポーツにおいてはその競技に必要な技術も必要であるため、個人の「センス」「運動神経そのもの」によってかなり差があると感じています。
筋トレさえしていればどんなスポーツも無双できるほど、単純なものではありません。
とは言え、スポーツには筋力が欠かせません。
競技の練習のほか、筋肉を発達させるためにウエイトトレーニングを取り入れている団体は、今はメジャーです。
筋力という土台があって、競技の技術が加われば、まさに鬼に金棒。
運動神経のいい人は、マッチョになっても運動神経はいいですし、苦手な人はマッチョになっても運動は苦手です。
「マッチョだからきっと何でもできる」と過度に期待されてしまうため、スポーツにおいてはがっかりされることもあるでしょう。
ボディビルをやると運動神経が悪くなる?
ボディビルのトレーニングは「対象の筋肉に効かせる」意識を持って行うことも多いです。
そのためか「常に効かせる癖がついているので不自然な動作になり、使えない体になる」なんて言われることも多いです。
たしかに、重い物を持ち上げたりする時、通常は「どこの筋肉を使って持ち上げよう」とは意識しません。
一つの筋肉だけではなく、全身のばねを使って、効率よく物を持ち上げます。
「筋肉を疲れさせないよう」全身を使って効率よく持ち上げます。
しかしボディビルトレーニングにおいては、それ以上に「狙った筋肉にストレスを与える」のが目的なので、ある意味「不自然な出力」になってしまうかもしれません。
「効率よく持ち上げよう」ではなく、
「鍛えたい部位に負荷がかかるように持ち上げよう」
ここが違うところです。
さらに「アイソレート系」の種目は、スポーツシーンにおいてそのような動作をすることはなく、まさに「狙った筋肉にストレスを与える最もたるもの」かもしれません。
しかしボディビルトレーニングは「効かせる」だけではなく「筋肉に意識を集中とかあまり関係なくとにかく重いものを挙げる」ことも当たり前なのです。
「不自然な体の使い方になる癖がついているから筋力を発揮できない」なんて言われますが、結局は「人による」だけだと思います。
人によってトレーニング内容は違います。
どのようなトレーニングで体をつくってきたかという部分も関係してくると思われます。
ビッグスリーなどのコンパウンドを積極的に行ってきた人は、その筋力やパフォーマンスをいかんなく発揮できると思います。
もちろん、競技の練習が必要なのは言うまでもありません。
マッチョでも、競技の素人なのは変わりません。
各パーツの筋力はあるのですから、あとはそれを生かせるようなコンパウンド種目、パワークリーンなども積極的に取り入れるとよいと思います。
繰り返しになりますが、あとは個人の運動神経とセンスだと思います。
「運動神経が悪くなる」というよりは「その運動を行うにはその運動に慣れる」必要があるわけなので、マッチョは関係ないと思われます。
マッチョになっただけではスポーツ万能になりません。
そのスポーツ自体に慣れることが必要です。
スポーツには技術がとても大切です。
マッチョだろうがマッチョじゃなかろうが、スポーツの素人は素人にすぎません。
ボディビルダーは腕相撲があまり強くない?
マッチョは腕相撲で細い人にカモにされることがあるかもしれません。
普通の人にはなかなか負けないと思いますが、腕相撲がもともと強い人やアームレスラーには手も足も出ません。
自分よりも腕が細い人にだって負けることは十分にあり得ます。
しかし、腕相撲なんか練習したことがないマッチョでも腕相撲がやたら強い人はいます。
それはなぜか。
これも「センス」「腕相撲の技術」の話にもなりますが、単純に「前腕をしっかり鍛えているかどうか」につきると思います。
ボディビルを行っている人で、胸や脚ほどに前腕に情熱を注いでしっかりと追い込んで鍛え続けている人がどれだけいるのでしょうか。
せいぜい腕のトレーニングの最後にリストカールを3セットもやれば終了、もしくは腕トレで刺激されているから不要、スキップしてしまうなんて人のほうが多いのではないでしょうか。
30キロの米袋を持った時、重くはないのですが、とても持ちにくかった経験があります。
しかし農家の人などはもっと楽に扱っているはずです。
つまり、前腕をしっかり鍛えていないのでせっかくの腕力が発揮できない可能性があります。
スキップレッグデイ(脚のトレーニングは辛いからサボる)という言葉がありますが、「見た目より力が無い」状態になりたくなければ「スキップフォアアームデイ」にならないように意識してトレーニングルーチンを組む必要があるのかもしれません。
ジムではなかなか前腕のトレーニングができない、そんな方は自宅での前腕トレーニングが有効かもしれません。
これを機会に前腕を開花させてみたい方、とにかく何でもいいので前腕を動かすことが第一歩だと思います。
詳しくは次の記事をご参照ください。
ボディビルダーは高重量を扱えない?
自分よりも体重が軽いパワーリフターよりも、ビルダーのコンパウンド種目(主にベンチプレス、デッドリフト、スクワット)の重量が劣ることはよくある話です。
パワーリフター、ボディビルダー、両者ともそれがどうしてなのかは把握していると思いますが、一般的には不可解に感じるようです。
どうしてボディビルダーのほうが筋肉ムキムキなのに扱う重量が劣るのか(もちろんリフターの方もすごい筋肉です)。
パワーリフターのほうは「筋肉に効かせずに重いウエイトを動かす技術」
ボディビルダーは「いかに筋肉対してにストレスを与えるか」
という、ウエイトを扱う目的が違います。
パワーリフターは重いウエイトをいかに挙げるか。
ボディビルダーは重い重量をいかに筋肉に乗せるか。
みんながみんなそうではないのですが、筋肉から負荷を逃さずにウエイトを扱う方法だと、パワーリフターのような超絶高重量はなかなか扱えません。
ビルダーはパワーリフターのように「挙げる技術」を優先していません。
パワーリフターのような動作ではなく、ビルダーにとっては「筋肉に対する負荷が高いやり方」が最善なので、「筋肉にいかに負荷をかけるか」を優先してウエイトを扱っているわけです。
ボディビルの場合はそのやり方で扱える範囲での高重量を扱ったり、時には軽い重量で多い回数やってみたり、あらゆる方法で筋肉を追い込みます。
軽い重量で追い込んでいる時に「マッチョなのにあんな軽い重量で悶絶している」なんて思われてしまうこともあるかもしれません。
「効かせる」けど一般的にはありえない高重量を扱うので、どちらにせよ普通の人には全く扱えない重量で行います。
ボディビルトレーニングは重量は大切だけど重量だけではない、と言われるのはそのためです。
軽いものから重いものまで、色々扱って筋肉を刺激します。
重量は「選択肢」の一つにすぎません。
筋肉に刺激、ストレスを与え、筋肥大の発達を促してなんぼです。
いくら高重量が扱えても、ステージに立った時に肉体が劣って見えればコンテストの場合においては意味がないのです(高重量が意味がないという意味ではありません。必要です)。
言うまでもなく、リフターの方は技術はもちろん筋力そのものもすさまじいですし、筋肉だってエグイです。
筋肉も筋力も人による
あとは、これを言ったら元も子もありませんが、「人による」というのも大きいです。
パワーリフティングのようなトレーニングをしていても筋力が伸びない人は伸びづらいですし、
ボディビルトレーニングをしていても信じられないくらい高重量が扱える人もいます。
残酷なことですが、人には向き不向きが存在します。
体づくりは他人と比較するのではなく、過去の自分と比較するのがいいでしょう。
筋肉だけじゃない!ボディビルの効果!
マッチョの筋肉がどうの、という話をしてきましたが、今度は健康面から見てみます。
ウエイトトレーニングをする目的は筋肉を発達させるだけではなく、「健康のため」という目的もあります。
みんながみんなムキムキを目指すのではなく、その健康効果にあやかって筋トレをすることもあるわけです。
ボディビルダーは不健康?
ボディビルといえば、どうしても「コンテストでの姿」が思い出されると思います。
極限まで絞り、真っ黒に日焼けをし、異常なまでの筋肉量。
なんだか「やりすぎ」で不健康な印象も持ってしまうかもしれません。
コンテスト直前でげっそりしていれば不健康に見えることもありますが、それは限定的な期間。
コンテストシーズン以外の過ごし方は、いたって普通で極端なことは何もありません。
コンテストに出場しなければ、そもそもげっそりする必要もありません。
極端な食生活を送っている人もいますが、それは自分が納得してやっているだけのことで、ボディビルだからどうの、ということではありません。
基本的にジムでしっかり筋トレをしている人は姿勢やスタイルの良さもさることながら、生き生きとはつらつと、内面から湧き出るようなエネルギッシュな方が多いです。
もちろん見た目も年齢不詳組が多いというのが僕の正直な印象です。
それでも若くしてばたばたと死んでいるボディビルダーもいるのは事実です。
一体なぜ?
最もたる原因は「ドーピング」によるものです。
アナボリックステロイド、ホルモン剤、あらゆる薬物を使用して筋肉を大きくする。
それらの筋肉増強効果は絶大ですが、健康を大きく害するのは有名です。
詳しくは次の記事をご参照ください。
ウエイトトレーニングの健康効果
筋肉の衰えは体の不調につながることが多いです。
姿勢が悪くなったり、太りやすくなったり。
体を動かすこと自体が億劫なので何事にも積極的になれませんし、より運動不足になる悪循環。
逆に「できるビジネスマン」は筋トレをしている人がとても多いです。
高齢者においては転倒のリスクが増大したり、特に下肢の筋力低下は命とりになりかねません。
筋肉を鍛えることで認知機能にも働きかけ、気持ちも前向きになることが実証されています。
体を動かしたあと、すっきりした経験は誰しもあると思います。
階段を上るだけで疲れませんか?
姿勢が悪くないですか?
膝や腰が痛くありませんか?
体づくりにはバランスのよい食生活が大切
体づくりはもちろん、健康的な身体を維持するためには食生活の改善が大切です。
炭水化物、たんぱく質、脂質、そして食物繊維。
バランスよく摂取し、体を鍛え、成人病とは無縁の生活を送りたいものです。
体づくりをする場合は、タンパク質の必要量はもっと増やす必要がありますが、それでも極端なことはありません。
たんぱく質の過剰摂取の実験の結果でも、体重×3から4gという超高たんぱく食を送り続けても健康被害はないとされています。
そもそもボディビルの食生活はバランスが良好です。
極端なことは何もありません。
それでいてしっかりと体も鍛えます。
「吐くまで喰え」「体脂肪なんか気にしないで無理やり体重増やせ」「ぶっ倒れるまで何時間もトレーニングしろ」は昔のごく一部の話です。
コンビニ食、酒、たばこ、運動不足。
まさにそれの真逆を行っているのではないでしょうか。
ボディビルは使えない?健康に悪い?まとめ
使えない筋肉、というのは「マッチョだろうがそうでなかろうがスポーツの素人は素人」である
見た目よりも力がないと思われるのは「力がないのではなく、せっかくの筋肉を生かす技術を習得していないから」
健康に悪いというのは「ボディビルのトレーニングと食生活を知らないから」
実際に病気になったり死んでる人マッチョがいるのは「マッチョだからではなく、ドーピングしているから」
こんなところだと思います。もちろん僕の見解なので、あしからず。
もちろん、ボディビルに限らずどのスポーツでも、超一流アスリートのように究極を極めると健康を犠牲にすると思います。
何事も限度というものがあります。
しかし、そんな超一流アスリートのようにそこまで自分を追い込める強靭な精神を持つ人は、そうそういないのではないでしょうか。