今やウエイトトレーニングの方法も数えきれないほど見かけるようになりました。
「○○は××より効果的だったというデーターがある」
「大胸筋や上腕二頭筋はストレッチ系が有効」
「ベンチプレス最強」
「ベンチプレスはいらない」
一体何が正しくて、何がダメなのか。
結局人によって、言っていることやっていること、全然違う。
しかし、みんなマッチョである。
結論から言うと、
「どれも正しい、何をやってもOK」です。
ウエイトトレーニングの神髄は「オーバーロードの原則」です。
徐々に負荷を上げていく、というものです。
もう少しかみ砕くと、
筋力を伸ばす
筋力を出し切る
この二つが目的になります。
大切なのはこの二つを達成することであって、手段は何でもいいのです。
そして、達成する手段は、人によって違います。
ただそれだけのことです。
だから、人によって言っていること、やっていることがバラバラなのです。
では、どうすればウエイトトレーニングの神髄である
「筋力を伸ばす」
「筋力を出し切る」
を達成できるのか。
その考え方を本記事では解説していきます。
ウエイトトレーニングに答えはありません。
最強のルーチンも存在しません。
もちろん、今回紹介する内容も「絶対」とは言えません。
僕個人の考えにすぎません。
しかしそれがウエイトトレーニングで体を変える、1つの引き出しになれば幸いです。
二つのシグナルで速筋繊維を動員させる
筋肉の発達は「速筋繊維」を刺激させることにあります。
速筋繊維は「重い物を扱う」「爆発的な動作」の際に動員されます(物理的刺激)。
速筋繊維は筋肥大を起こしやすく、「パワーをつければ筋肉が発達する」と言えるでしょう。
また、
「重量に関係なく限界ギリギリに耐えて動作する」時にも速筋繊維は動員されます(化学的刺激)。
つまり、全ての速筋繊維を徹底的に刺激するためには、「重い物を扱う」ことと「力を出し切る」ことが必要になります。
この目的を達成できれば、手段(種目)は何でもいいのです。
自分にとって目的を達成しやすいウエイトトレーニングの種目を選択していくことになります。
得意なコンパウンド種目の重量を伸ばす
それでは、どのようにトレーニングを組み立てていくのか解説します。
まずは「筋力を伸ばす」ことを目的にします。
その目的を達成しやすいのが「コンパウンド種目の重量を伸ばす」ことです。
ここでのコンパウンド種目は、主に「バーベルを使った基礎種目」を指します。
ビッグスリーでおなじみのベンチプレス、スクワット、デッドリフト、などがそうです。
これらのような基礎種目は
メリット
フォームを一定にしやすく、前回と比較しやすい
重いウエイトを扱うのに適している
デメリット
狙った筋肉だけにピンポイントで刺激を入れるのが難しい
狙った筋肉を追い込むのが難しい
という特徴があります。
「一般的には」8から12回を2,3セット行います。
そしてこの「重量を伸ばしたい」種目は「1部位につき1種目」で十分です。
得意なコンパウンド種目だったらなんでもOK
では、選択する種目です。
例えば胸ですと、ベンチプレスでもインクラインベンチプレスでも、「自分にとっての重い物を扱える得意な種目」だったら、なんでもOKです。
「自分にとって得意である、パワーを発揮しやすい種目」こそがベストだからです。
また、フォームも大切ですが、「手幅がどうだ」「バーを担ぐ位置」など、細かい体勢も自由です。
「しっくりくる」「力を入れやすい」のが自分に合っているフォームです。
一般的なフォームをしっかり覚えたのち、試行錯誤をし、自分に合うよう修正していくことになります。
苦手な種目は避けてオーケー
「ベンチプレスはどこに効いているかわからない」など、苦手な種目をパワーの主軸にする必要はありません。
「この種目なら力を発揮しやすい」「重量を伸ばしていける」と感じる種目であれば、何でもいいです。
フォームを崩すことなく目標の回数を達成できたら、次回からは少しだけウエイトを足します。
そしてまた目標の回数を目指していく。この繰り返しです。
文献のデーターは参考程度に
また、「この種目のほうが○○筋への刺激が〇%高いというデーターがあってetc・・」とかは、それほど気にしなくてOKです。
試してみるのはいいことですが、その種目が自分に合わなければ意味がありません。
可動域は自分に合った範囲がベスト
可動域も「あまり広くとりすぎると膝が痛い」「これ以上曲げると肘に負荷が逃げる」など、これも人によるので、極端でない限りパーシャル(動作の範囲が狭い)だってOKです。
できればフルレンジ(動作の範囲を一番大きくとる)推奨ですが、あくまで「できる範囲でのフルレンジ」の話です。
そのあたりのバランスも大切です。
伸ばしたいコンパウンド種目の記録をとろう
「先週は何キロを何回上げた」など記憶できればいいのですが、なかなかそうもいきません。
今では便利なアプリもあるので、スマホに入力するもよし、ノートに書くもよし、記録を残しておくのが便利です。
扱う重量が伸びてくると成長が目に見えて実感できるので、モチベーションにもつながります。
ただし、回数を達成しようとフォームが崩れたり、「ごまかし」には注意が必要です。
コンパウンド種目で重いウエイトが扱えるようになると、他の種目をやった時重い物を扱いやすく、パワーアップを実感できると思います。
鍛えたい筋肉の力を出し切り、追い込む!
初心者の頃は重量を伸ばすためのコンパウンド種目だけで終えて大丈夫です。
最初のうちは「やったことがない動作」に慣れていくため、面白いように重量が伸びていきます。
ひとまず頭うちになるまで重量を伸ばしていくのもいいでしょう。
どこまでが初心者とかそういうのはないので、このまま続けても問題はありません。
しかしボディビルのように筋肉を大きくしたい場合、筋肉にさらなるストレスを与える必要があります。
先に紹介したバーベル種目のデメリットを振り返ります。
狙った筋肉だけにピンポイントで刺激を入れるのが難しい
狙った筋肉を追い込むのが難しい
もちろん扱う重量が伸びていけば筋肉は大きくなっていきますが、より筋肉を大きくしたい場合「追い込む」必要があります。
より筋肉を大きくすることで筋肉はさらに強くなり、筋力も伸びていきます。
これぞもう一つの「ウエイトトレーニングの神髄」である「筋力を出し切る」ということです。
バーベル種目では力が分散することと、先に心肺機能がばてたりして、「ピンポイントに狙った筋肉を追い込むのが難しい」デメリットもあります。
そこで、2種目目以降は「筋力を出し切る」ことを目的とし、その方法を解説します。
追い込むとは「どの種目でもいいから力を出し切る」こと
バーベル種目でも狙った筋肉の力を出し切ることができればそれでいいのですが、実際はなかなか難しいです。
バーベル種目でピンポイントの筋肉だけが動かなくなるということはほとんどなく、「あっちもこっちも疲れ、何より体全体がしんどいから動作できなくなる」という感じになると思います。
そこでおすすめなのが「アイソレート種目」です。
「単関節種目」と呼ばれることもありますが、その名の通り一個の関節を介した動作をする種目になります。
サイドレイズやコンセントレーションカール、レッグエクステンション、レッグカールなどがそうです。
狙った筋肉をピンポイントに追い込むことが可能です(化学的刺激)。
メリット
狙った筋肉の力を出し切りやすい
狙った筋肉に刺激を入れやすい
デメリット
高重量になるほどフォーム等ぶれが大きく重量更新には向かない
パワーアップにはあまり向いていない
限界まで耐えないと、あんまり効果がない
ここで「筋力を出し切る」ため選択する種目はアイソレート系がおすすめですが、なんでもよいです。
流行りのストレッチ系でも何でもいいです。
肝心なのは「しっかりと狙った筋肉に負荷を乗せやすい」と感じるものが、自分にとってベストな種目です。
しっかり負荷を乗せられていないと、狙った筋肉の力を出し切ることは難しいです。
ただ疲れるだけで終わってしまいます。
また、マシンでもフリーウエイトでもどちらでもよいです。
アイソレート種目は軽めがおすすめ
アイソレート種目の重量は、重くても軽くても何でもいいです。
しかしアイソレート種目は重すぎると逆に狙った筋肉から負荷が抜けてしまうため、上級者でない限り追い込むのには適さない場合が多いです。
逆にあまりにも軽すぎるとレップ数が多すぎてしまうため、時間ばかりかかって効率が悪いです。
また、100回で限界を迎えるのに妥協して80回くらいでやめてしまうことも考えられます。
そんなわけで、バランスを考えるとやや軽めをおすすめします。
一般的には15から30レップスくらいですね。
というか、上級者でも軽めをやることが多いです。
アイソレート種目は限界まで動作しましょう。
途中で力を抜かないで筋肉に負荷を乗せたまま動作
テンションを保ったまま動作
これでもかと丁寧に動作を繰り返す
痛くなっても(バーン)限界まで耐える!!!
こうすることで、速筋繊維が動員され、徹底的に筋肉を追い込むことができます。
レップの後半に現れる「焼け付くような痛み(バーン)があるか」が追い込んでいる目安になります。
そこを徹底的に耐えしのぎ、本当に動かなくなるまで動作を繰り返します。
根性の見せ所です。
可動域やフォームは自分で調整する
「可動域」や「フォーム」は「負荷が抜けないことを最優先」とし、100%教科書通りにやらなくても大丈夫です。
よほどでない限り、多少見た目がおかしくてもねらった筋肉にしっかりと負荷が乗っていれば問題ありません。
あくまで目的は「負荷を抜かずに力を出し切ること」です。
基本的にアイソレート種目は重量を更新しようとメモを取る必要はありません。
あくまで目的は重量ではなく、限界まで力を出し切ることです。
セット数よりも1セットごといかに力を出し切るかが大切
「何セットやろう」というのはあまり意味がありません。
1セットで力尽きるつもりで挑むのが力を出し切るポイントです。
本当に1セットで力を出し切れば、計2セットもやればお腹いっぱいだと思います。
あとは「ここにもっと刺激入れたいな」と感じる部位に対してもう一種目足してみたり、あえて終了して来週にとっておいたり、自分で決めてオーケーです。
「一週間休んだのに全然力入らない」「しっかり負荷がかかっていると感じる!」など、成長の経過を評価し、セット数、種目数を調整していきましょう。
力を出し切らずにセット数ばかり多いのは無駄
速筋繊維をあまり動員することなくセットを終えていたのでは、何セットやっても筋肉にとってはストレスにはなりません。
単にエネルギーを消費し疲れるだけで、成長を得るのは難しいでしょう。
中途半端な刺激では何回やっても効果が薄いです。
1セットに気合を込めて、徹底的に限界まで力を振り絞ってこそ、筋肥大の扉は開かれます。
狙った筋肉の力を出し切るコツ
アイソレート種目のメインセットでは「数をカウントしないほうがよい」です。
20とか30など、キリのいいところで「やり切った!!!・・気がする!!」と、無意識に妥協してやめてしまうことがあるからです。
「1,2,3」ではなく、「まだ、まだ、まだ」がおすすめです。
1,2,3、とカウントしていき、辛くなったらカウントをやめて「まだ、まだ」にするのもよいと思います。
また、追い込むコツとして
ドロップセット
レストポーズ
もおすすめです。
ドロップセットは、限界がきたらすぐにより軽いウエイトに持ち替えて、また限界までレップスを繰り返す方法です。
2,3段階重量を落として、1セット終了です。
精神的に耐えられなくても、ウエイトを軽くすることで嫌でも動作が可能になるため、限界まで粘ることが簡単になります。
レストポーズは、限界まで達したらほんの数秒だけ脱力して休み、またそのまま続きを頑張るというものです。
ウエイトの持ち替えがないため、周りの環境に左右されないのが強みです。
どうしても追い込むことができない方は、ドロップセット、レストポーズ、お試しくださいませ。
マンネリこそが停滞の原因!
長年トレーニングを続けていると、何をやっても成長しない時期がやってきます。
どこまでも筋肉が発達し続けることはありません。
やるほどに成果が出続けるのであれば、この世のトレーニーはみんなロニー・コールマンになってしまいます。
発達するのはあくまで「遺伝子の許す限り」という、悲しい現実も確かに存在します。
ナチュラル(ドーピングをしないで体づくりをしている人たちのこと)の限界は6年くらいで訪れる、とも言われています。
あきらめてはいけません。
遺伝子がどうのというより、「マンネリ」も停滞の大きな原因です。
ウエイトトレーニングがすっかり当たり前のものになると、辛いトレーニングでさえ体にとってはもはや「当たり前」であり、「ストレス」と感じなくなってしまいます。
とにかく、「いつもと違うことをする」のがポイントです。
たまにはやったことがない種目をやってみる
体は新鮮な刺激に反応します。
やったことがない運動、やったことがない動作です。
長年筋トレをしている人でも、「やったことがないスポーツをちょっとしただけで筋肉痛」なんてザラにあります。
ウエイトトレーニングも同様です。
いくら辛い筋トレを継続していても、「体にとって当たり前の刺激」になると、もはや刺激になりません。
そこで、「種目を変える」のがおすすめです。
定期的に種目や順番を変え、いつもトレーニングに「新鮮さ」を与えるのもマンネリ打破には大切です。
追い込み方を変えてみる
アイソレート種目のインターバルを短くする。
ドロップセットを多用してみる。ドロップセットを一切しない。
スロトレのような動作をしたり、テンポを変えてみる。
同じ種目をやっていても、やり方に変化を与えるだけで新しい刺激になります。
分割を変えてみる
5分割でトレーンニングしていたのを2分割にしてみる、
全身トレーニングにしてみる、頻度を上げてみる、
どれでもオーケーです。
そもそも「5分割が優れている」「高頻度が最強」「トレーニング頻度は少ないほうがよい」
どれも良い悪いはなく、最強のルーチンはありません。
どれも正しいです。
大切なのは「マンネリしないか」
そして
「重量が伸びているか、力を出し切れるか」です。
時々変化をつけていくのもよいでしょう。
一休み!たまには頑張らないことも
疲労の蓄積で停滞している可能性もあります。
しばらくトレーニングを休んだり、1週間ほどマシンだけで全身を慣らす程度にとどめてみたり、メリハリをつけるのも一つの対策になります。
まとめ。筋トレは手段ではなく目的を重要視!
どの種目が良いというのではなく
筋力を伸ばす
筋力を出し切る
この二つをゴールとし、自分に合ったトレーニングを選択していくことが大切です。
得意なコンパウンド種目の重量更新を目指し、筋力を伸ばす。
効かせやすいアイソレート種目で徹底的に筋力を出し切る。
種目やセット数も、それを達成しやすい量を見つけていく必要があります。
自分に合ったトレーニングを見つけるためには毎回のトレーニングを振り返り、次につなげていくことも必要です。
マンネリも停滞の原因になりますので、種目を変えたり、追い込み方を変えたり、変化をつけるのもよいでしょう。
筋肉を追い込むことについて、こちらの記事もご参照ください。
ナチュラルだからこそ恐れることなく限界を突破しましょう!